人間誰しも無性に寂しくなるときがあるものだ。メローネはベッドの上でエッチな雑誌を読んでいる。小さな女の子の裸が出てくるようなやつ。メローネの好みは本当によくわからない。(きっと好みだとか、そんな次元の話じゃないんだろうけど。)今日みたいに女の子の写真を眺める日もあれば、ゲイ向けの小説を読んでいる日もあった。一心不乱に雑誌を読むメローネを見ていると、隣にいる私の存在が忘れられているのではないかと少し心配になる。
「メローネー」
「…から抱きついてくるなんて、珍しいな。」
「でも、ディ・モールト・ベネ、だ」
メローネは雑誌を閉じて私のほうを向いた。さらさらと金髪が一束顔にかかる。くすぐったいので払うとメローネの瞳に私の姿が映っていた。
「は今日もベリッシモ可愛いよ」
「メローネも毎日男前だね」
「それは嬉しいな」
ゆっくり目蓋を閉じようとすると、金髪が近づいてきたので思わず引っ張ってしまう。
「痛いじゃないか」
「…だ、だってメローネが急にキスしようとしてくるからッ!」
「別にいいだろ。恋人同士なんだから」
「でも、…っ」
途端、おでこにキスをされて思わず目をつぶれば今度は目蓋にキスされた。メローネの舌が睫毛を掠めてはなれていく。普通目蓋なんかにキスするときは軽いフレンチキスなんじゃないの。そう言おうとしてやめた。この金髪には普通なんて通用しないんだった。
「泣いてるみたいだ」
「じゃあ舐めないでよ」
またメローネの瞳には私が映っていて、なんだか嬉しくなって少し涙が出そうになった。全部メローネが舐めたせいにしてしまいたい。